日本各地に甚大な被害を及ぼした台風19号ハギビス。
被災者の皆さまには心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
私が暮らしているのは、千葉県の南房総。
9月9日千葉県に上陸した台風15号で、南房総は甚大な被害を受けました。
屋根や瓦が飛ばされ、ブルーシートで覆われた家がふつうに目に入ってくる光景。台風通過後の停電と断水。携帯の電波も入らない。
あれから1カ月。
少しづつ前へ歩みを進めているところに、世界も注目する「スーパー・タイフーン・ハギビス」が、台風15号と同じ進路を通るかもしれないというニュースが流れた。
わが家はといえば、昨年、一昨年と台風により屋根の一面が飛ばされてしまったが、今回の台風15号で屋根が飛ばされることはなかった。昨年飛ばされた際、大工さんにどうするべきか相談した。風を受けにくいように軒先を縮め、下に風が入って吹き上げないように軒先の屋根下側を塞いだ。屋根の下地材を、茅葺の下にある屋根裏とも繋いで強度が増すようにしてくれた。
その甲斐あってか、風向きのせいか、とにかく台風15号でいつものように屋根が飛ばされることはなかった。
台風15号で被害に遭った人の話を聞くと、
- 物が飛んできてガラスが割れた
- 風圧でガラスが割れた
- 窓が割れ、風が入り込んで屋根を押し上げて飛ばした
という内容を多く耳にした。そのため、雨戸が無い窓を養生することに。家を改修中のため、ふつうの家より材料はある。もらいものの半端な床材で窓を覆ったり、何かに使おうともらっていた木戸で覆ったり、飛ばされた屋根のトタンで覆ったり。トタンで覆うと、シャッターのようでなんだか安心感が増した。
避難すべきか否か。どこに避難するべきなのか?
台風15号のときは、仲間で集まる場所にもなっている友達宅に避難した。風の音で眠れず、停電もあったが、さほど怖い思いはしなかった。
しかし一歩外に出てみたら、庭の大木が敷地内に倒れ、通りも木々が倒れて通れない状態になっていた。倒れた木が母屋に当たらなかったのが、ほんとうに奇跡でラッキーだったと思う。
倒木の処理をしてから、自宅へと向かう。屋根は無事だろうか?倒木で家まで辿り着けないかもしれない、と不安な思いでいっぱいだった。なので今回は、家か近所の避難所に居ようと決めていた。
市で指定されている地区の避難先、公民館を覗いてみた。窓に養生テープを貼るのみで特に板を張る予定はないとのこと。建物自体は鉄筋コンクリートっぽいし、わが家の木造古民家に比べたら丈夫だろう。
もし避難するなら、悪天候になる前に、早めに避難したい。でも犬がいるとそうも行かないのだ。
わが家のペットは犬(あわ)とヤギ(ひじき)
ヤギのひじきは元々厠だった小屋を家にし、周りを柵で囲って自由に中と外を行き来している。台風の度に心配される、トタンのツギハギだらけのひじき小屋だが、母屋の屋根が飛んでもひじき小屋はほぼ被害がない。被害はといえば、ひじきが角でどついて壊している壁くらいだ。
散歩の必要もなく、小屋が飛ばされる心配もさほどなく、草さえ入れておけば問題ないので、ひじきのことは心配していない。何かあったとしても、私が家に居れば台風通過後にすぐ対応できる。わが家が無事で、私も無事であればだが…。
犬のあわの場合、ひじきと違って一日2回の散歩とその後のご飯が必要になる。軒先で飼っているため、雨が酷いときは床下に潜り込んでいる。
もし私が一人で避難した場合、夕方の散歩に行けなくてもいつもの場所で床下に避難するのが、あわにとって一番いいだろう。
南房総市が発行している「広報みなみぼうそう」2018年2月号によると“ ※ 避難所で飼い主とペットが同一空間で生活することを「同伴避難」といいます。市では人が避難するための最低 限の場所しかありませんので、同伴避難は難しい状況です。 ”とある。
建物が安全だからと言って、ケージに入れられたまま知らない場所に連れていかれ、色んな犬猫のケージと同じ空間に置き去りにされたら、不安でたまらないはず。
覚悟を決め、自宅で犬のあわと籠城
ペットも私も、やっぱりわが家が一番なのだ。こうなったら覚悟を決めよう。養生はやった。朝の散歩を済ませ、あわを中に入れて最後の雨戸を閉じる。
落ち着かない時間。電気があるうちに、電波があるうちに、ラジオを流し、ネットで情報をチェック。これから台風が近づいてくるという12日の午前中に、千葉県市原市で死者が出たと聞いて動揺。
ラジオからは、「狩野川台風に匹敵する記録的な大雨となる恐れもある」と話し、「 狩野川台風 は、死者・行方不明者1200人以上を出した 」と言う…。
これはもう、生きていられるかどうかわからない。
一番飛びそうなボロボロの木戸が飛んだとしても、家の中に雨が入り込まないように中からブルーシートで養生。最悪の場合を想定してテントも出しておく。
大きいバックパックには長期的な避難生活になった場合に必要になるであろう衣類などを詰めて車の中へ。
中くらいのバックパックには、食料など比較的すぐに必要になるものを詰め、現金などの貴重品と懐中電灯はショルダーバックに入れた。
養生作業で汗だくになったので、雨風がひどくなる前にお風呂に入り、情報過多で不安になるのも嫌なのでPCを閉じて裁縫をして過ごす。
17時前、携帯を見たら圏外に。ラジオから流れて来た曲を大声で一緒に歌う。風の音がうるさくて、どうせ外には聞こえない。何も気にせず、大声で歌うのって気持ちいい!
夕食の準備をしていた18時半、停電。いよいよはじまったか。非常用ラジオを取り出したけど、閉め切っているからか電波悪くて入らず・苦笑
停電してからゆっくりサイーダさんに学ぼうと楽しみにしていた本「女ノマド、一人沙漠に生きる」を読もうとしたら、どうやら車にあるバックパックに入れてしまったようだ。
ランタンに火を入れて、ソファーであわと寛ぎながら読書。隙間だらけのわが家は、閉め切っていても風が入ってきてカーテンも電気も揺れている。ムシムシしなくてちょうどいい・笑
強い風で家が揺れると、いよいよやばいかもとカッパを着たりヘルメットを付けたり。けど、さすがに暑いからすぐに外す。よく考えたら屋根や壁が飛んで強風が吹き荒れたとき、ランタンだと倒れて火事になっちゃうかも。
こういうときこそLEDランタンを使うべきだ。灯油ランタンは台風が通り過ぎたあと、停電の日常で使うことにしよう。
最終的に、作業着の上からカッパを着用。ヘルメットとショルダーバックをして、リュックを抱えながら座布団に横になった。さすがに、カッパとヘルメットをして眠りについたのは初めてだ。家の中がいつ家の中じゃなくなるか判らないので、仕方ない。
22:50 ふと目覚めた。外は静かだ。台風が去ったのか、台風の目の中にいてまたこれから風が吹き荒れるのかと少し緊張したけど、どうやら台風は去ってくれたようだ。
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