安房(あわ)には「安房手づくり醤油の会」というものがあります。一つの樽で醤油を仕込み、1月になると搾り師たちが樽の場所へ赴き、醤油を搾ります。
1樽で一升瓶25本くらいの醤油が採れるので、何人かでシェアしている樽も多いと思います。私が参加している樽は、5人でシェア。うちのチームは毎年2月後半か3月頃に搾っています。今年は、2月22日に搾りました。
搾り船で醤油を搾る。搾りたて生醤油は最高の味!
醤油搾りの日は、樽のメンバー以外に醤油搾りを体験したい知人たちも参加する。最初の仕事は火起こし。大きな羽釜にたっぷりの水を入れて、かまどでお湯を沸かす。搾り師が搾り船や必要な道具を運び込み、準備を進める。
その年の気温で発酵具合も異なるし、お店で買うようないつも同じ味の醤油はできない。でも、自分たちで仕込んだ醤油の味は格別で、毎年おいしい醤油が出来上がる。
醤油色に染まった醤油袋に1.5杯くらい、お湯で溶いた醤油の元を入れ、船の中で平に並べていく。何重にも袋を重ねていくうちに、自重で少しづつ醤油が船の口から流れ出る。
全て袋に入れ終えてから、少しづつ庄を加えて搾っていく。毎年恒例、一品持ち寄りランチは搾りたて生醤油が引き立つ料理が多い。シュウマイに刺身、かまどで炊いた炊きたてご飯に平飼卵で卵かけご飯。本ワサビとおかかと醤油を混ぜて頂く白飯。白菜と豚肉のミルフィーユは、ダイダイを搾って生醤油と混ぜたポン酢で頂く。
手作りシフォンケーキやクッキーもあって、コーヒーが飲みたいと思えば、キャンプ用ミルとコーヒー豆を持参してコーヒーを淹れてくれる友達。
生醤油をそれぞれ容器に入れて持ち帰り、残りは火入れして、オリが沈むまで放置。私たちはたいてい、搾った1週間後にビン入れ作業を行っている。
上積みを少しづつすくって、ビンへと注ぐ。ときどき、入れた醤油の位置を見失って溢れさせてしまうので要注意。今年も1人5本づつの醤油が無事に搾られた。
麹屋さんで、醤油仕込み用の麦麹作り
搾ったと思ったら、早速来年用の仕込み作業が始まる。醤油作りの材料は、大豆、麦、塩、水。大豆を茹でて、炒った麦を粉砕して混ぜ、そこに麹菌を加えて一定の温度が保たれたむろへと入れる。
麹屋さんに到着したら、まずは麦を炒る作業。ガスコンロとカセットコンロに鉄製中華鍋を乗せて、お玉か木べらでひたすら炒る。炒るときのしゃかしゃかいう音や、焙煎されて発せられる香ばしい香り、弾けはじめる音。たまに焦がしてしまって焦げる匂いがしたけど、2人で12キロの小麦を1時間15分で炒り終えることができた!
一石(いっこく = 一升 × 100)入るという大きな鍋に大豆を入れ、約12分蒸気を入れて蒸す。その間に、粉砕機に麦を入れて粉砕。そして、蒸された大豆をむしろの上に広げて荒熱を取る。そこへ粉砕した麦を加え、むしろを揺らしながら混ぜ、麹菌を加えて更に混ぜる。
全て混ざったら、「盛り」と呼ばれる工程へ。杉で作られた麦麹用のトレー14枚に取り分け、真ん中に凹みを入れて重ねていく。奥に見えるのは、室(むろ)。隣町の鋸南(きょなん)にある保田(ほた)から運ばれて作られたという、石の室の中へと運び、醤油を仕込む3日後まで待機。
来年に向けて、醤油を仕込む
できたてほやほやの麦麹を樽に空けると、緑色の麹菌?が舞った。麦麹と塩12キロを樽に入れ、手でよく混ぜ、水32リットルを加えれば仕込み完了!
水を加えるとぶくぶくとし始めた。 あとは天地返しをしながら、来年の醤油搾りを待つのみ。醤油搾りと仕込みは、慌ただしく過ぎて行きました。
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