南房総にはいくつものギャラリーが点在している。
その中の一つ「GALLERY sfk(ギャラリーエスエフケー)」で5月27日まで展示されているのが「田中賢二 藍の世界 天然灰汁発酵建」。
南房総の山間の中にひっそりと佇むこのギャラリーは、今年で16年を迎える。その16年の中で「最高の作家さん」とオーナーに言わせたのが、今回の田中賢二さんの個展。
今までも染色や織物など、興味がある展示のときに訪れていたが、今回はオーナーにそこまで言わせた人の藍染の展示とあって、楽しみにしていた。
大判のタペストリーが並ぶ会場。
染色は、色を付けるのは比較的簡単だが、地の色(白)を残して色を入れるのは難しいと私は思う。
一滴も地に染液を付けることは許されない。
この大きなタペストリーに濃い藍を染めるのは、80回も染色を行うという。
80回の中で1回でも、地に染液を飛ばすことは許されないのだ。
細かな絞り模様。
この大きさにこの細かな絞りを入れる作業と染めの作業、そして糸を外す作業を思うと気が遠くなる。
藍染の青は、その濃淡でさまざまな青を表現する。
そしてその青は、染められても尚発酵し続け、一段と良い色になっていくのだという。
藍染の中でも、天然灰汁発行建の藍染を行う人は少ないらしい。田中賢二さんの作品に目を留め、高く評価したフランスカンヌのギャラリーが働きかけて、2019年9月19~10月2日まで、イタリアの「Museo Giuseppe Scalvini 」にて“藍の世界”を表現するそうだ。
田舎で暮らしつつも、身近な場所でこのような作品に触れられるのは、ほんとうにありがたい。もし、雨の日に南房総に訪れたなら、このような小さなギャラリーを巡るのも、またおもしろいのではないだろうか。
オーナーともゆっくり話ができ、ギャラリー開設に至った経緯や名前の由来など「なるほど~」なできごとに出逢えるはず。
ちなみに、ギャラリーsfkの場合は、オーナーのお母さまがつくった沢山のフクロウたちを是非気に留めてほしい。そしてそのお母さまの話を聞けたら「いくつになってもできるんだ!」というパワーとやる気をもらえるはず。
GALLERY sfk(ギャラリーエスエフケイ)
住所:千葉県南房総市下滝田125-3
時間:11:00~16:00
定休日:火・水曜日
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